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WordPressのセキュリティが不安な方へ
乗っ取り被害が繰り返される本当の理由と根本対策
WordPressのセキュリティが不安、という事業者の方は少なくありません。セキュリティ対策のプラグインを入れて、なんとなく安心して、日々の更新に追われる。そして時々「WordPressの脆弱性で数万サイトに被害」というニュースを見ては、また少し不安になる——そんな状態のまま運用を続けている方は、とても多いのが実情です。
この記事でお伝えしたいのは、脅かすための話ではありません。むしろ逆で、なぜWordPressでは乗っ取りや改ざんの被害が繰り返し起きるのか、その仕組みを一度きちんと理解すれば、漠然とした不安を具体的な判断に変えられる、ということです。
私はもともと金融機関のシステム基盤を担当し、「絶対に止められない・破られてはいけない」システムのセキュリティ設計を前提に仕事をしてきました。その視点から見ると、WordPressのセキュリティ被害が繰り返されるのには、運とは関係のない、はっきりとした構造的な理由があります。
この記事の要点:WordPressの乗っ取り被害は運ではなく仕組みの上で起きています。対策プラグインで守りを固める発想には限界があり、根本的にはヘッドレスCMSへの移行で「狙われる入口そのものを無くす」のが最も確実な対策です。
WordPressの被害は「たまたま」ではなく仕組みの上で起きている
まず、大前提をひとつ。
ニュースで報じられるWordPressのセキュリティ被害は、特別に運の悪いサイトが遭ったものではありません。WordPressというシステムの成り立ちそのものが、攻撃を受けやすい構造になっているために起きています。順を追って説明します。
原因1:ログイン画面という「開いた入口」が常に晒されている
WordPressは、記事を書いたり画像を差し替えたりするための管理画面を持っています。とても便利な仕組みですが、この管理画面には見過ごされがちな性質があります。
それは、その入口(ログイン画面)のアドレスが、Webに多少詳しい人なら誰でもすぐに分かってしまう、決まった形になっているということです。あなたのサイトがどんなデザインであっても、この入口の場所は共通の“お決まり”になっていて、わざわざ探す必要すらありません。
これが何を意味するか。世界中の攻撃者(の多くは自動化されたプログラム)は、無数のWordPressサイトのその入口を機械的に叩き続けています。あなたのサイトが有名かどうかは関係ありません。「WordPressで作られている」というだけで、24時間、扉をガチャガチャと試され続けているのです。これがWordPressが乗っ取りの標的になりやすい、最初の理由です。
金融システムの世界では、「重要な入口の場所を誰でも分かる形で公開しておく」というのは、まず設計段階で通りません。しかしWordPressでは、これが標準仕様なのです。
原因2:セキュリティが「多数のプラグイン任せ」で成り立っている
WordPressの魅力は、プラグイン(拡張機能)を足すことで、問い合わせフォームでも予約機能でも自由に追加できる点にあります。多くのサイトが、10個も20個ものプラグインを組み合わせて動いています。
ところが、この便利さがそのままセキュリティ上の弱点になります。
プラグインは、それぞれ別の作り手が開発したものです。その一つひとつに、作り手も気づいていない“穴”(脆弱性)が潜んでいる可能性があります。そしてサイト全体の安全性は、使っているプラグインの中で「一番弱い一つ」に引きずられて決まってしまうのです。
「あるプラグインの脆弱性で数万サイトが被害」というニュースが繰り返し報じられるのは、まさにこのためです。あなたが丁寧にサイト本体を管理していても、入れているプラグインの一つに穴が見つかれば、そこが侵入口になります。しかも、どのプラグインにいつ穴が見つかるかは、誰にも予測できません。
利用者の多いプラグインだけでも、深刻な脆弱性は毎週のように新しく報告されています。特定の一つを避ければ済む話ではなく、使い続ける限り次々と現れるのが実情です。
実際、2026年7月にはWordPress本体で、ログインなしに遠隔から乗っ取りが可能な深刻な脆弱性が公表され、IPA(情報処理推進機構)が緊急の注意喚起を出しています。これはプラグインではなく本体側の問題で、「プラグインを慎重に選べば安全」とも言い切れないことを示した事例です。

守るべき対象が、自分の管理下にない多数の部品に分散している——これが、WordPressで「気をつけていたのに乗っ取られた」が起きる二つ目の理由です。
原因3:最後の砦が「人の注意力」になっている
では、どう守るのか。一般的なWordPressのセキュリティ対策は「脆弱性が見つかったらすぐ更新する」「不審なログインを検知するアラートを入れる」です。
これは正しい対策です。しかし、ここに三つ目の、そして最も根深い問題があります。
その守りが機能するかどうかが、運用する人の注意力に依存しているのです。
更新のお知らせに気づけるか。アラートのメールを見逃さないか。忙しい日が続いても対応を後回しにしないか。——防御の成否が、こうした人間側のコンディションに委ねられている。これは、セキュリティ設計としては非常に危うい状態です。
なぜなら、攻撃側は自動化されて24時間止まりませんが、守る側の人間は必ずどこかで気を抜き、見落とし、後回しにするからです。「対策プラグインを入れているから大丈夫」は、そのアラートを毎回きちんと確認し、即座に対応し続けられる、という前提の上でしか成り立ちません。そして現実には、その前提はいつか必ず崩れます。
金融システムの現場で徹底して叩き込まれるのは、「人は必ずミスをする。だからミスが起きても破られない設計にする」という考え方です。人の注意力を最後の砦にしている時点で、そのセキュリティはいつか突破される——これは、時間の問題なのです。
WordPressのセキュリティ対策には限界がある──「守りを固める」より「入口を無くす」
ここまで読んで、「では、もっと強力なセキュリティプラグインを入れればいいのか」と思われたかもしれません。
しかし、根本的な解決はその延長線上にはありません。扉に鍵を増やし続けても、扉がそこにある限り、いつかは狙われます。より本質的な問いはこうです。
そもそも、狙われる入口を無くしてしまえないか。
これを実現するのが、「ヘッドレスCMS」と呼ばれる、近年主流になりつつあるサイトの作り方です。
仕組みの詳細は割愛しますが、事業者の方に伝わる言葉で言えばこうなります。従来のWordPressは、「お客さんが見るページ」と「あなたが編集する管理画面」が、同じ一つの家の中に同居していました。だから、お客さん用の玄関から入って、管理画面まで到達されてしまう危険があった。
ヘッドレスCMSの構成では、この二つを完全に別の場所に切り離します。お客さんが見るページは、あらかじめ“完成品”として配信される、いわば書き換えのできない印刷物のような状態になります。そこには、侵入して乗っ取るための管理機能もログイン画面も存在しません。一方、あなたが編集する管理画面は、公開されたページからは切り離された、外から到達できない場所に置かれます。
つまり、先ほど挙げたWordPressのセキュリティ問題が、その土台から消えてなくなります。
- 誰でも分かる「開いた入口」が、公開ページ側に存在しなくなる
- 多数のプラグインに守りを依存する構造から解放される
- 「人の注意力頼み」でかろうじて防ぐ、という綱渡りが不要になる
鍵を増やして守りを固めるのではなく、狙う入口そのものを無くす。これが、私がお客様のサイトに、ヘッドレスCMS以外の作り方をおすすめしたくない最大の理由です。
WordPressからヘッドレスCMSへ──移行の進め方と費用の目安
「今のサイトを全部作り直すのは大変そう」「移行の費用が読めない」という不安があるのは当然です。ここは正直にお伝えします。
WordPressからヘッドレスCMSへの移行は、いきなり全部を入れ替えるものではありません。一般的には、まず現在のサイトの構成と、本当に必要な機能を洗い出すところから始めます。そのうえで、今の見た目や運用のしやすさを保ったまま、土台だけを安全な作りに置き換えていきます。普段サイトを更新される方の操作感は、これまでと大きく変わらないように設計できますので、「新しい仕組みを一から覚え直す」といった負担は避けられます。
移行の費用や期間は、ページ数や必要な機能によって変わるため、一律ではお伝えできません。だからこそ、まずは現状をお聞きした上で、正直な見積もりと進め方をご提示するようにしています。「そもそも今のWordPressサイトがどれくらいリスクのある状態なのか」を診断するところからでも構いません。
よくある質問
Q. セキュリティプラグインをきちんと入れていても、WordPressは危険なのですか?
プラグインによる対策には意味がありますが、限界があります。ログイン画面が公開されている構造や、多数のプラグインのどれか一つに脆弱性が生じるリスク、そして対応が人の注意力に依存する点は、プラグインを足しても根本的には解消されません。守りを固める発想と、入口そのものを無くす発想は別のものです。
Q. ヘッドレスCMSにすると、記事の更新が難しくなりませんか?
いいえ。編集画面の操作感は、これまでと大きく変わらないように設計できます。安全になるのは「土台の作り」であって、日々の更新のしやすさが犠牲になるわけではありません。
Q. 小さなサイトでも狙われるのですか?
はい。攻撃の大半は自動化されたプログラムによるもので、サイトの知名度や規模に関係なく、機械的に無数のサイトを試し続けます。「うちは小さいから大丈夫」は、残念ながら通用しません。
Q. 移行にはどのくらいの費用と期間がかかりますか?
ページ数や必要な機能によって変わるため、一律の金額はお伝えできません。まずは現状をお聞きした上で、正直な見積もりと進め方をご提示します。現状のリスク診断だけのご相談でも構いません。
不安を、具体的な判断に変えるために
WordPressのセキュリティ被害が繰り返されるのは、あなたの運用が悪いからでも、運が悪いからでもありません。仕組みの上で、そうなるべくしてそうなっている——それが、この記事でお伝えしたかったことの核心です。
そして、その仕組みは選び直すことができます。
「うちのサイトは大丈夫だろうか」「移行すべきか、まだ様子を見ていいのか」——そう感じられたなら、その感覚は正しいものです。金融システムのセキュリティ基準を前提に仕事をしてきた立場から、あなたのサイトが今どういう状態にあるのかを、脅すためではなく、判断していただくために、率直にお話しします。
まずはお気軽にご相談ください。現状をお聞きするところから始めましょう。
表示速度と検索順位が気になる方は、あわせてこちらもご覧ください:「WordPressの表示速度が遅い本当の理由」
AI検索(ChatGPT・Google AI Overviews等)での自社の見え方が気になる方は、こちらもどうぞ:「AI検索対策の効果、測れていますか」
CDNの仕組み自体が気になる方は、こちらもどうぞ:「CDNとは何か|サイトが「速く・落ちにくく・安全」になる仕組み」
WordPress以外の選択肢を含めて構成から検討したい方は、こちらもどうぞ:「LAMP構成とJamstack、中小企業のサイトはどちらを選ぶべきか」
Author
NAGU|Penbit Lab代表
金融システムの汎用機(メインフレーム)からオープンシステムへの移行や、大手通信キャリアのシステム構築など、社会インフラを支える現場で実務経験を積んできました。 「なぜそうするか」を大切にした開発スタイルで、単にコードを書くだけでなく、ビジネス上の課題を解決することを目指しています。 CCNA(Cisco Certified Network Associate)、LPIC-1 Linux Administrator、LPIC-2 Linux Engineer、LPIC-3 300 Core(Mixed Environment)、LPIC-3 306 High Availability and Storage Clustersを保有し、ネットワーク・Linuxサーバー・高可用性設計の専門知識をWebシステム開発 / SI・インフラ構築(Next.js / Cloudflare Pages)に活かしています。